被写体のドラマを写し出し、見る人が共鳴する写真を撮る
表現したいものを自由に撮る楽しみ
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部長の文学部2年?竹村南洋さんは、一人一人が撮りたいものや表現したいものを重んじて、自由に撮影を楽しめる部活のスタイルを大切にしてきました。「普段からカメラを持ち歩き、“その瞬間”を納める人や作品のテーマを決めて撮りだめていく人など、撮影のスタイルはみんな違います。春に1回と紫熊祭の年に2回写真展を行っているんですよ。展示作品を決めるために、それぞれの作品を持ち寄って、みんなで意見を交換すると写真に対する幅広い考えがあることが分かりますね」。
竹村さんが写真部の門を叩いたのは、専攻している考古学の記録写真を撮影する際に役立てるためだったと、当時を振り返ります。「一眼レフカメラを初めて手にした時には、操作するのも難しいし、部室にあるニコンやペンタックスのいろんなカメラも全部同じに見えていました。フィルムカメラもデジタルカメラも同じに見えるくらいの初心者で、初めて自分が撮影した写真を手にしたときは、うれしかったですね」。
現在、部費や寄贈されたカメラは全部で10台。それぞれカメラの好みも違うため、個人で持っているカメラもありますが、精密機械なのでメンテナンスは欠かせません。デジタル全盛の時代ですが、フィルムカメラにはフィルムカメラの良さがある。それを教えてくれたのも写真部の先輩たちだったと竹村さんは語ります。
撮影意図が伝わる作品を作りたい
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「“焼き付け”とは、フィルムを現像し、印画紙に焼き付けて行く作業のこと。例えば、現像時間を長くしたり、現像液の温度を調節したり、あるいは印画紙に当てる光の調整で、自分が表現したいものに仕上げることができるので、楽しいですよ。“焼き付け”の楽しさで写真にハマる部員が多く、僕もその一人なんです」。
しかし、自分自身が望む写真に仕上がったとしても、独りよがりでは何も伝わらないという竹村さん。「きれいな風景であれば、何がきれいなのか。人の表情であれば、その表情で何を伝えたいのか。その意図がきちんと見る人に伝わらなくては、いい写真とはいえないと思っています。写真展などに掲示する作品を選ぶ際には、構図やアングルのほか、撮影の意図が伝わるものを選んだほうがいいと、みんなには話しています」。
写真について語り合う時には、それぞれの好みや思いがあるため、どうしても同じ評価にならないものもあります。しかし、お互いの意見や写真の見方を学び合ういい機会にもなり、その後の作品に影響を与えることも少なくありません。そこに個人ではなく、部に所属して活動する意義があるといえるでしょう。
5月の写真展に向けて準備開始
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5月12日(火)から月末にかけて、黒髪北キャンパス学生会館食堂前のロビーで写真展を開催することが決まり、いよいよ全部員総出で準備がスタートします。作品を撮りだめる一方で、展示に必要なツール制作などもはじまるため、休んでいる暇はありません。「部にとって貴重な発表の場。街を歩いている時に何気なく映した写真の中にも、四季や人の流れ、そこに写った人の表情など、作品にはさまざまなドラマが写り込んでいます。自分がいいなと思ってシャッターを押した意図を、見る人が同じように楽しんでくれたらうれしいですね」と竹村さんは、新たな作品作りに掛ける思いを語ってくれました。
(2015年3月31日掲載)
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